2022/11/04
過去10年以上にわたり低金利に苦しんだのは貯蓄者だけではない。一部の資産運用会社も苦しんできた。だが、その時代は終わりを告げた。
米連邦準備制度理事会(FRB)は2008年に政策金利を迅速に引き下げると、一時的な中断を除き、今年初めまで事実上のゼロ金利政策を維持してきた。
金利があまりにも低いため、資産運用会社はマネー・マーケット・ファンド(短期金融資産投資信託、MMF)の手数料の大部分について、免除せざるを得なかった。運用会社が手数料を徴収していれば、投資家がマイナスリターンに見舞われることも多かったはずだ。
米投資信託協会(ICI)によると、資産運用会社は09年から21年にかけて、530億ドル(約7兆8000億円)以上の手数料を免除した。
MMFの運用手数料が上昇金利上昇に伴い、マネーマーケット・ファンドもこれまで免除していた手数料の徴収を再開し、投資家のコスト増につながっている。
現在では、資産運用会社がこれまでの免除分を取り返そうと手数料の引き上げを急いでおり、投資家のリターンを圧迫している。
米調査会社クレーン・データによると、米国では21年末時点で年間運用手数料が0.18%を超えるマネーマーケット・ファンド(MMF)は皆無だった。
それが今年9月末時点では、全体の4分の1に相当する210本のMMFの年間手数料が0.5%以上となっており、そのうち約20本は1%以上だ。
今週、1カ月物の財務省短期証券(Tビル)とコマーシャルペーパー(CP)の利回りが約3.2%だったのに対し、MMFの平均利回りが2.8%弱だったのは、このためだろう。
昨年末時点のMMFの利回りが0.02%だったのに比べれば、はるかにましだ。だが、それでも十分とはいえない。